理創生活で生まれた「YES思考」

マルノを去ることになり、私は途方に暮れていました。
正直なところ、計画があってマルノから離れたわけではなかったので、これからどう生きていこうか、家族をどうやって幸せにご飯が食べられるようにできるのか、挫折感と喪失感で、考えても答えが出せない状態でした。

しかし、そのときに支えてくれた存在が現在のマルノ副社長でもある妻でした。
落ち込む私に向かって、妻は「どんな所でもふたりで働いてでも、食べていくことはできる。だから、大丈夫。」と言ってくれて。
この言葉に、とても励まされました。ずっと今も支えてくれている妻には頭の下がる思いで、感謝の念が尽きません。

代表の想い-内舘茂

独立する前、自分でも気づかないうちに「殿様思考」になっていたのだと思います。
マルノの商売が問屋業だったことや、特約店というある種の特権的な立場に思える状況だったことで、お客様に向き合ってお客様の願いに寄り添うことを、どこかで軽視してしまうようになっていたのだと。

ですが、理創生活でお客様と直接顔を見てやりとりさせていただき、お客様の暮らしの一部に関わらせていただく中で、私たちの仕事に「ありがとうございます」と言っていただける。
一見、当たり前のように思えますが、これは当たり前のことではありません。お客様に誠実にしっかりと心を込めた対応をする中で、お客様が私たちを信じてくださったときに、ありがとうは生まれます。ありがとうは、努力と信頼の結果なのだと、このときになって私は初めて心から思えるようになりました。

この時、私が心がけていたのは「0.1秒でYESと言う」ことでした。
私たちにお声がけいただけるのであれば、どのような仕事でも受ける。とにかく、お客様の要望にお答えすることを喜びとして、向き合う。
それが、「マルノがコミットするのは、お客様の喜びという結果である」という現在の心がけの根幹になっている教訓です。

そうするうちに、理創生活でも人を雇えるようなところまで成長することができました。
この頃から、私の経営の考え方として「家族主義」といえるようなものが生まれてきました。
会社を家のように、そして社員さんたちを本当の家族のように思い合う。
家族みんなで会社という家を安定させて、より成長できるようにしていく。そうすることで、家族みんなが幸せで豊かになっていけると、そう考えるようになったのです。

再びマルノへ ようやく見えた経営の形

理創生活もある程度成長し、社員たちも食べさせられるくらい安定が見えてきたタイミングで、マルノの社長であった父から連絡が来ました。

たまたま私が東京に所用で滞在していたときに、突然父から電話がかかってきました。
喫茶店で待ち合わせをして、唐突に父が頭を下げて「戻ってきてくれないか」と生まれて初めてお願いされました。
初めてのことで戸惑いましたが、私は、「それはできない」と答えました。理創生活という新たな会社で再スタートして向き合うべきお客様もいましたし、「結局はマルノに戻るんだ」とお客様や世間から思われてしまうのではないかと考えたのです。

お客様に対して、誠実でありたいという想いが私の根幹になっていましたから、そのようなかでマルノに戻るというのは、あまりにも不義理で不誠実なのではないかと思いました。

ですが、当時のマルノは全盛期よりも規模は縮小したとはいえ、理創生活よりも大きな会社で、理創生活で掲げていた地域のお客様に寄り添った対応をより多くの方に提供していくためには、マルノの力も合わせることが近道になるのも確かでした。

とても悩みましたが、最終的にはより多くのお客様の幸せを作りたいと思い、マルノへ戻り理創生活と両立していくことを決めました。

理創生活とは違い、社員数も会社規模も大きくなったことで、私は一つの壁にぶつかることになりました。
それは、家族主義の経営指針が少しづつ機能しなくなっていったことです。

代表の想い-内舘茂

社員を家族のように思い、お互い気心のしれたフラットな関係性で仕事をしていくことは、一つの方法として価値があると思います。これは今でも変わらず思っていることです。
しかし、会社の規模や成長段階によってはそれが障害になってしまうこともあります。例えば、気心が知れているからこそ日々の業務の中でミスがあっても指摘が弱くなってしまったり、互いの頑張りを認め合うけれども結果に結びついているかどうかを追求しなくなってしまったり。

もちろん、家族主義というだけでそのような問題が起きてしまうわけではありませんが、私にとってそれが大きな経営上の壁になってしまいました。
お互いにリスペクトや愛情を持つことは大切にしながらも、会社にとっての生産性や効率性を持てるよう、社員がしっかりとお客様に向き合い結果を出せるよに環境を整えることが、、、これからのマルノには必要だと思ったのです。

会社は、絶対に揺るがない軸と、状況によって最適な選択としての方針の2つで動かさないといけないのだと、このときに強く考えさせられました。

そこで、私自ら組織作りのプロの方に指導いただき、根本的な組織の考え方や組織のルール作りを学び、社内で実践することにしました。
最初は小さい部分から、挨拶のルール作りだったり、業務承認のルール整理だったりをはじめ、最低限の環境づくりから始めました。

当初、私自身でも疑心暗鬼な部分もありましたが、程なくして効果が現れはじめました。
ルールが整備されたことで、社員それぞれが無駄に迷うことが少なくなり、業務効率や意思決定のスピードが上がり、結果的に業績が上がっていったのです。
その経験から社員たちも「結果を大事にする」という意識が少しづつ定着していきました。そして、お客様に対しても単に丁寧に接するのではなく、いかにお客様の要望を叶え、満足いただける結果につなげるにはどうするのか、という思考を持つようになり、これまで以上に誠実な対応と提案が可能になりました。

これからのマルノ

日本をはじめとして、全世界でコロナによる不況や経済の不安定さが感じられます。

マルノも例外ではありません。コロナが広がった当初、マルノでは2ヶ月連続で前年比4割ほど売り上げが落ちてしまいました。
正直、不安で危機的な状況だと感じました。しかし、だからこそ、ここを乗り切ることができれば、マルノは本当の意味で地域に貢献し、お客様に寄り添い続ける会社になれるという想いもありました。

先述の組織デザインの変革も功を奏し、2021年には、私が入社して以来初の6ヶ月連続目標達成となりました。
マルノだけの特別な方法や戦略があったわけではありません。私たちが行ったのは、ずっと変わらず「地域のお客様の暮らしに誠実に寄り添う」という理念を表現するための、小さな変化と実践の積み重ねでした。

この度、旧社名の丸乃タイル株式会社から”株式会社マルノ”へと社名変更を行い、私たちが大切にしている理念と姿勢を改めて盛岡・岩手の方々に伝えるために、会社のブランドを刷新しました。
これも、より一層地域に貢献していく、地域に住まわれている”あなた”の暮らしをより一層豊かにしていくための決意表明です。

マルノは、これまで語ったような紆余曲折の物語と、多くの方々の支えによって、ここまで走ってくることができました。
だからこそ、私たちはこれまでと変わらず地域に対して誠実に寄り添い、お客様一人ひとりの暮らしが今日よりも「マル」に溢れる日々になるよう、努力したいと思っております。

これまでご愛顧いただいているお客様、そしてこれからマルノと関わりを持ってくださるお客様、全ての皆様に感謝を示し、信頼をいただけるよう邁進して参りますので、何卒これからも、株式会社マルノをよろしくお願いいたします。

株式会社マルノ 代表取締役社長

内館茂サイン

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